私が忘れた重大なもの
今の私のやり過ごし方はただ毎日
歌を聴くこと。メルモと一緒に聴いてきた
歌は、あの頃のメルモがはっきりと浮かぶ
言葉にできない色々な思い。不安、恐怖
後悔、無力感、手離したくない思い、全部
聴く歌の中に込めていた。
今は1人で聴く歌でも、あの頃のメルモを
あの時の思いをはっきりと思い出せる。
消えてしまわないように、見えるものに
聞こえるものに、メルモをつなげていた。
あの時に戻る事は、哀しい事の方が多く
泣いてばかりだけど、泣けるだけマシだ!
哀しい事もメルモと居た大切な時間だ。
* 共に生きれない日が来たって どうせ
愛してしまうと思うんだ
darling darling oh my darling
狂おしく鮮明に僕の記憶をうめつくす
*しるし*
➖➖➖私が忘れた重大なもの➖➖➖
メルは胃がんじゃなかった。でもあまりの明暗な違いに本当に間違いがないか、2週間後にもう1度検査を受けた。結果は異常なし。
これで心から安心できると思った。
そこから2週間が過ぎる頃、メルモがふらついた。直ぐにかかりつけに行った。
先生に言われた言葉にハッとした。なぜ
ふらつきがあるのに、脳のMRIもしてもらわなかったの⁈
なぜ?なぜか? 私が胃がんにとらわれすぎて、ふらつきは勝手にてんかんだったんだろう!と自分で思い込んだせいだ。
1番最初になんで病院に行ったのか?
メルモがふらつくからだった。それなのに
大事な事を忘れていた。
直ぐに大学病院に検査の予約をしていただいた。 待ちは数日だったが、その数日の内に
メルモは立てなくなった。
かかりつけの先生に様子を話したら、この
数日でそんな状態になってるなら、予約を
待ってる場合じゃない。この間の状態とは
明らかに違い過ぎる。今日はもう診察が
終わっている時間だから、明日、朝イチで
電話をするようにと言われた。
私は少し驚いた。大学病院は何となく敷居が高いイメージがあり、予約さえかかりつけを
経由してやっと行ける場所だと思っている。
えっ?予約外の日に診てもらえるんですか?
と、口に出していた。
先生は、大学病院にいる人も獣医師です。
今、具合の悪い子がいるのに、知らん顔を
する事はない!だから明日、朝、必ず
電話をして診てもらうようにと。
私が忘れてたものは、とんでもなく大きく
償う事のできない責任の重いものだった。